開館時間 9時〜17時
休館 / 12月31日〜1月2日
入館料 大人250円 / 高・中学生150円 / 小学生100円
西坂町7-8 TEL095(822)6000


●JR長崎駅からのアクセス
車 / 長崎駅前から約1分。
徒歩 / 長崎駅前から徒歩5分。

●文化財
プラケット「ピエタ」(県指定有形文化財)
木彫レリーフ「聖母子」ほか(県指定有形文化財)


銅造弥勒菩薩半跏思惟像
(県指定有形文化財)


日本二十六聖人殉教地
(県指定史跡)



西坂の丘で殉教したキリスト教信者の
悲しい物語を今に伝える記念館


慶長元年(1597)、豊臣秀吉によるキリシタン禁止令により、京阪地方へ伝導していたフランシスコ会宣教師6人と日本人信徒20人が処刑された。
戦後、原爆の破壊から立ち上がった長崎は殉教地であった小高い丘を公園にかえ、昭和31年(1956)、長崎県はそこを史蹟と指定。
それが現在の西坂公園だ。
昭和37年(1962)二十六聖人等身大のブロンズ像の記念碑が建立、同時に日本二十六聖人聖堂、そして聖フランシスコ・ザビエルの渡来から明治時代までのキリスト教の歴史を紹介するこの日本二十六聖人記念館が建てられた。

今回はこの二十六聖人等身大のブロンズ像の裏手にひっそりと建つ、日本二十六聖人記念館、キリシタン史の世界へ……探検隊いざ潜入!



キリシタンの歴史をふまえて
26人の殉教者を見つめてみよう!


長崎のこの丘で多くの人々が殉教していったということは、世界的にも広く知られている。
しかし、そこに至るまでの歴史に関しては異教徒の日本人にはなかなか知られていないのが現実だ。
キリストが十字架に架けられたゴルタゴの丘に似ていることから、信者達がこの地を処刑の場に願い出たという西坂の丘。
彼らはどのようないきさつで、どのような思いで、処刑されたのだろうか?
この記念館の展示を見た後、レリーフの前に改めて立つと、様々なことが見えて来そうだ!?



おすすめチェックポイントベスト5

1. 建物で殉教者の心を伝える…建築家の意図

長崎のガウディの建築物と思われるような外観の記念館は、昭和37年(1962)、建築家・今井兼次氏の設計によって建てられた。
今井氏の考えは建築をもって殉教者の心を現すことだったとか。
2階に設けられた「栄光の間」はまさに殉教者の美徳を称えるもので、この祭壇には彼らの聖遺骨が納められている。
「栄光の間」天井には十字架が象られているが、他に館内の天井も蛍光灯が十字になっている。
細かなところにまで配慮した神聖な空間が印象的だ。



2. レリーフで殉教者の心を伝える

記念館前のレリーフ。舟越保武氏製作・築造昭和37年(1962)。
十字架に架けられた26名の殉教者たちのそれぞれの表情、動作を見てみよう。
天を仰ぎ、それぞれに口を開いて祈りを捧げているようだ。
彼らは殉教の際、十字架に架けられ槍に刺されて死んでいった。
その時彼らは賛美歌を歌っていたのだそうだ。
右から6人目、両手を広げた人物は聖パウロ三木。
周囲を取り囲む約4000人もの群集の前で十字架に架けられたまま彼は最後の説教を説いたという。
館内にも十字架に架けられた聖パウロ三木の彫像がある。
レリーフで彼らの足がみんな垂れ下がっているのは、昇天の様子を描いているのだとか。


3. レリーフ裏、長崎への道

道(どう)という字には精神、心という意味がある。
レリーフ裏の「長崎への道」はまさにクリスチャンの信仰のシンボル。
1597年1月4日、京都を発って2月5日に長崎に到着するまで歩き続けた二十六聖人の苦しい旅と、英雄的精神とを表現したものだ(今井兼次作)。
入口の方右上に出発点である「きょうと」の文字、その下にある26個のぶどうの実は、聖書に示されたシンボルで、神様に命を捧げた二十六人の犠牲を表現しているのだとか。
ちなみに黒い線が道、左下にある十字架の上にはすり鉢があり、ぶどうをするとキリストの血を示す葡萄酒(ワイン)になる…ほかにもそれぞれに意味があり、とても興味深い作品となっている。


4. ステンドグラスに描かれた花は……梅と椿


二十六聖人が死んだ時、(2月5日)梅のつぼみがほころび始めていたのだという。
また、長崎の教会(特に五島、平戸)に咲く赤い椿の花が散らばった様子を殉教者の血、足跡にイメージ。
「栄光の間」前には梅と椿をあしらったステンドグラスが美しく、儚く輝いている。


5. 入場したら、左から歴史の流れに身をまかせよ!


多くの展示物が並ぶ館内。
目に入ったものからついつい見て回りそうになるが、入口入ってすぐの左側から順に、キリシタンの歴史の流れに沿って展示されているので、できればその順路に沿って回ろう。


今回の取材で学んだことは、建物にも人びとの精神が宿るということ。
展示の方法にも、見せ方にも建築家の「殉教者の美徳を多くの人びとに紹介する」という意志が込められていることに深く感動してしまった。
皆さんも展示の内容はもちろん、この聖なる空間に足を踏み入れて、ぜひこの感動を味わってみてください。


●『日本二十六聖人記念館』常設展示概要●

「キリシタン時代から伝えられたもの」「現代その歴史を現すために制作されたもの」という大きく2つに分けられた展示内容。
「1キリシタン時代のもの」の中には、聖フランシスコ・ザビエルのポルトガル国王ヨハネ3世宛の手紙、天正少年施設の中浦ジュリアン神父の手紙、島原の乱の記録、マリア観音、16世紀のブロンズ・ピエタなどの展示資料と同時に、キリシタン研究のため和洋書合わせて約3000冊の専門図書がある。
「2現代の作品」では、建築をもって殉教者の心を伝えようとした建築家今井兼次氏が手掛けた「栄光の間」と呼ばれる2階特別展示室、ステンドグラス、モザイク壁画などのほか、様々な作家による油絵、フレスコ画、日本画などを展示する。
毎年2月5日の二十六聖人殉教記念祭のほか、館長である結城了語悟神父著『長崎への道 日本二十六聖人』などのキリシタンに関する出版物を発行する事業を行なっている(記念館にて販売)。


 
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