おすすめチェックポイントベスト5
1. 建物で殉教者の心を伝える…建築家の意図
長崎のガウディの建築物と思われるような外観の記念館は、昭和37年(1962)、建築家・今井兼次氏の設計によって建てられた。
今井氏の考えは建築をもって殉教者の心を現すことだったとか。
2階に設けられた「栄光の間」はまさに殉教者の美徳を称えるもので、この祭壇には彼らの聖遺骨が納められている。
「栄光の間」天井には十字架が象られているが、他に館内の天井も蛍光灯が十字になっている。
細かなところにまで配慮した神聖な空間が印象的だ。
2. レリーフで殉教者の心を伝える
記念館前のレリーフ。舟越保武氏製作・築造昭和37年(1962)。
十字架に架けられた26名の殉教者たちのそれぞれの表情、動作を見てみよう。
天を仰ぎ、それぞれに口を開いて祈りを捧げているようだ。
彼らは殉教の際、十字架に架けられ槍に刺されて死んでいった。
その時彼らは賛美歌を歌っていたのだそうだ。
右から6人目、両手を広げた人物は聖パウロ三木。
周囲を取り囲む約4000人もの群集の前で十字架に架けられたまま彼は最後の説教を説いたという。
館内にも十字架に架けられた聖パウロ三木の彫像がある。
レリーフで彼らの足がみんな垂れ下がっているのは、昇天の様子を描いているのだとか。
3. レリーフ裏、長崎への道
道(どう)という字には精神、心という意味がある。
レリーフ裏の「長崎への道」はまさにクリスチャンの信仰のシンボル。
1597年1月4日、京都を発って2月5日に長崎に到着するまで歩き続けた二十六聖人の苦しい旅と、英雄的精神とを表現したものだ(今井兼次作)。
入口の方右上に出発点である「きょうと」の文字、その下にある26個のぶどうの実は、聖書に示されたシンボルで、神様に命を捧げた二十六人の犠牲を表現しているのだとか。
ちなみに黒い線が道、左下にある十字架の上にはすり鉢があり、ぶどうをするとキリストの血を示す葡萄酒(ワイン)になる…ほかにもそれぞれに意味があり、とても興味深い作品となっている。
4. ステンドグラスに描かれた花は……梅と椿
二十六聖人が死んだ時、(2月5日)梅のつぼみがほころび始めていたのだという。
また、長崎の教会(特に五島、平戸)に咲く赤い椿の花が散らばった様子を殉教者の血、足跡にイメージ。
「栄光の間」前には梅と椿をあしらったステンドグラスが美しく、儚く輝いている。
5. 入場したら、左から歴史の流れに身をまかせよ!
多くの展示物が並ぶ館内。
目に入ったものからついつい見て回りそうになるが、入口入ってすぐの左側から順に、キリシタンの歴史の流れに沿って展示されているので、できればその順路に沿って回ろう。
今回の取材で学んだことは、建物にも人びとの精神が宿るということ。
展示の方法にも、見せ方にも建築家の「殉教者の美徳を多くの人びとに紹介する」という意志が込められていることに深く感動してしまった。
皆さんも展示の内容はもちろん、この聖なる空間に足を踏み入れて、ぜひこの感動を味わってみてください。
|