古くから中国と深い関わりを持つ長崎の地は、中国の僧が開いた唐寺や中国人によって繁栄した寺など、寺院においても中国の影響を強く受けている。そのため実は御本尊が中国伝来の仏像だという寺も多い。ほかにも古くからのいい伝えが残り今も人々に親しまれて続けている仏像、長崎の宗教史を一身に受けた仏像、その歴史を考慮して文化財的価値の高い仏像などなど。長崎にも幾世代もの人々の心の支えとなってきた仏像があるのだ。今回はそんな仏像にスポットを当ててみよう。


ズバリ!今回のテーマは

「長崎の仏像、知ればたちまちハシゴ寺!」 なのだ



●仏像ウォッチング・ビギナーのための鑑賞ポイント!
『仏様(仏像)の種類、位置関係を頭に入れて…鑑賞!』
好きかそうでもないか、心に迫るものがあるかそうでもないか。仏像を目の前にした瞬間、直感で好みの仏像に出会った!と感じることがある。知識で鑑賞するのではなく、思わず手を合わせたくなるそんな気持ちが何より大切なのは間違いない。しかし、それに多少なりとも知識が加われば、仏像を前に“有り難い!”という気持ちも倍増することだろう。そこで……。

まずは、基礎知識へGO!

仏像の鑑賞ポイント4

その1★仏像の種類や関係って?
仏像の種類を形で分類すると仏(如来)菩薩明王の4パターン。如来とは、仏陀(ぶっだ)の別名で、この世に心理を示すもの、悟りを得たものを表している。阿弥陀如来、薬師如来、釈迦如来、大日(だいにち)如来、奈良・東大寺の大仏に代表される毘盧舎那仏(びるしゃなぶつ)があって、大日如来以外は装身具をつけず法衣をまとうだけのお姿。額の◆白亳(びゃくごう)など32面相と呼ばれる特徴を持つといわれている。菩薩とは、仏に次ぐもので、自らも悟りながら衆生も教化救済するために修行する行者さんのこと。観音菩薩、勢至菩薩、文殊菩薩、普賢菩薩、弥勒菩薩、地蔵菩薩、虚空蔵(こくぞう)菩薩、日光菩薩など。宝冠を着け、天衣、◆瓔珞(ようらく)で身を飾っている。そして、仏の道を教化し難いものを、威をもって折伏し救済することを役目とするのが密教から生まれた仏・明王。そのほとんどはコワーイ忿怒の形相で武器を握っているのが特徴で、不動明王、愛染明王、孔雀明王がこれだ。最後に。これは、仏教以外の神が仏教の護法神となったもので、須弥壇の4隅を守る四天王、金剛力士、八部衆、十二神将、吉祥天、弁財天、伎芸天など、もとは◆バラモン教やインドの民間信仰だったものがほとんどだ。

その2★三尊仏(三尊像)とは?
阿弥陀如来の左手に観音菩薩、右手に勢至菩薩というように、中央の仏像とその左右の仏像を一組としてまつるのが三尊像。その際、中央の仏像が「中尊」で、左右の仏像を「脇侍(きょうじ)」または「夾侍(きょうじ)」と呼ぶ。この中尊と脇侍の組み合せは決まっていて、阿弥陀如来のほかに、釈迦如来の場合は左手に文殊菩薩、右手には普賢菩薩、薬師如来の場合は左手に日光菩薩、右手に月光菩薩となる(例外もあり)。

その3★仏像の手の動き、すなわち仏の心?

仏像を見ると様々な手の動きがあることに気づく。これは“印相(いんそう)”といって、この形によって仏像の心を読みとくことができるのだ。これはもともと釈迦の手の動きから生まれたといわれているが、古くからインドでは手のしぐさで気持ちを伝える習慣があって、その要素も加わっていると考えられている。手の動きにも注目してみよう。

その4★仏像が手にしているものに御利益が?

仏像が手に持っているもの“持物(じもの)” にも意味がある。薬師如来は薬壺(やっこ)を持っている唯一の如来像。そのほか、最も多く見られるのは蓮の花で、これは泥の中で生育しても美しい花を咲かせる蓮は仏の慈悲の清浄さと、人々が本来持っていて仏の慈悲によってあらわれる清らかな心の象徴とされているんだとか。そのほか、武器には煩悩を退け、信仰者を守護する意味があるなど、その持物によっていろんな意味があることを知っておこう!

今回ナガジン!がピックアップした仏像は、長崎市内に安置された仏像のほんの一部。それを歴史・面相・親しみ度合いという3つのチェックポイントで分析してみた。評価(★)に関してはナガジン取材班の独断と偏見であることをご了承いただきたい。


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【仏像の鑑賞ポイント】
【これこそはお宝!と指定された文化財仏像】
【感嘆!感動!ストーリーのある仏像】
【長崎ならでは!中国伝来の仏像】


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