障害を理由とする差別の解消の推進に関する長崎市職員対応要領<逐条解説> 平成29年4月 長崎市 目次 T障害者差別解消法の制定の背景と経緯 1ページ U長崎市における取組方針 1ページ V対応要領制定の趣旨 1ページ W対応要領及び留意事項                            1 第1条及び第2条(趣旨等)について 2ページ 2 第3条(不当な差別的取扱いの禁止)について<留意事項> 5ページ 3 第4条(合理的配慮の提供)について<留意事項> 7ページ 4 第5条及び第6条(職務の執行等)について 11ページ 5 第7条、第8条及び第9条(相談、研修等)について 12ページ X 参照条文                                  1 障害を理由とする差別の解消の推進に関する長崎市職員対応要領 14ページ 2 障害を理由とする差別の解消の推進に関する長崎市職員対応要領第5条に規定する留意事項 15ページ 3 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 16ページ 4 障害者基本法 21ページ T 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の制定の背景と経緯 障害者への差別禁止や障害者の尊厳と権利を保障することを義務づけた国際人権法に基づく人権条約である「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」が、平成18年12月の国連総会本会議で採択され、平成20年5月に発効されました。 日本においては、平成19年9月に同条約に署名後、平成21年12月には、同条約の締結に必要な国内法の整備をはじめとする障害者制度の集中的な改革を行うために、内閣に「障がい者制度改革推進本部」を設置し、障害者施策の推進に関する事項について意見を求めるために設置した障害当事者、学識経験者等からなる「障がい者制度改革推進会議」等における協議結果を踏まえた「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(平成25年法律第65号。以下「法」という。)が平成25年6月に公布され、平成28年4月から施行されています。 なお、障害者権利条約については、平成25年12月に国会で承認され、平成26年1月に批准されています。 U 長崎市における取組方針 平成23年度から平成32年度までの10年間を計画期間とする「長崎市第四次総合計画」において、重点テーマの一つに「ともに支え合い、いきいきと暮らせる地域社会の実現」を掲げ、これに沿ったまちづくりの方針Fにおいて「人にやさしく地域でいきいきと住み続けられるまち」をめざすこととしており、人の尊厳が守られ、人と人とが信頼し合い、固い絆でつながり続けることで、それぞれの立場を越えて支え合うまちづくりを進めることとしています。 また、平成28年度からの後半5年間を計画期間とする「後期基本計画」の基本施策F3において、「障害者が暮らしやすいまちづくりを進めます」を掲げ、障害の有無に関わらず、すべての人が平等に情報を入手し、共有できるような環境整備に努めるとともに、意思疎通に支障があり、配慮が必要な障害者へのコミュニケーション支援を推進することとしています。 V 対応要領制定の趣旨 この対応要領は、法第10条の規定に基づき定めるものです。 法では地方公共団体における対応要領の策定は努力義務とされていますが、本市では、法の趣旨や本市の姿勢を庁内に浸透させ、障害を理由とする差別の解消に向けた取組みを積極的に推進するために、この対応要領を策定することとしました。 また、長崎市全体として統一的な考え方の下で必要な対応や取組みができるよう、法において「事業者」に該当する地方公営企業(上下水道局)を含めた本市の職員全員を対象としています。 W 対応要領及び留意事項 1 第1条及び第2条(趣旨等)について (趣旨) 第1条 この要領(以下「対応要領」という。)は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項の規定に基づき、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定)に即して、法第7条に規定する事項に関し、長崎市職員(嘱託員及び臨時職員を含む。以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。 (定義) 第2条 この対応要領における用語の意義は、法の定めるところによる。 (1) 対応要領の目的 対応要領は、法第10条第1項の規定に基づき、障害を理由とする差別の解消を推進するため、長崎市職員(以下「職員」という。)が、法の趣旨を理解し、障害者に対して、適切に対応するための必要な事項を定めるものです。対応要領は、服務規律の一環として定めるもので、職員はこれを遵守しなければなりません。 (2) 法の基本的な考え方 全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するためには、日常生活や社会生活における障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している社会的障壁を取り除くことが重要です。 このため、法は、障害者に対する「不当な差別的取扱い」及び「合理的配慮の不提供」を差別と規定し、行政機関等及び事業者に対し、差別の解消に向けた具体的取組みを求めるとともに、普及啓発活動等を通じて、障害者も含めた国民一人ひとりが、それぞれの立場において自発的に取り組むことを促しています。 ※社会的障壁:障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいい、例として、次のようなものがあげられます。 @社会における事物(通行・利用しにくい施設・設備など) A制度(利用しにくい制度など) B慣行(障害者の存在を意識していない慣習・文化など) C観念(障害者への偏見など) (3) 行政機関等や事業者の義務 法は、行政機関等における障害を理由とする差別の禁止を規定しており、障害を理由とする「不当な差別的取扱い」及び「合理的配慮の不提供」の禁止を法的義務(法第7条)としていますが、事業者における「合理的配慮の不提供」の禁止は、努力義務(法第8条)とされています。 なお、行政機関等は国の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体(地方公共団体の経営する企業を除く。)及び地方独立行政法人を指し、事業者には、個人事業者、NPO法人等の非営利事業者及び地方公共団体の経営する企業を含みます。 行政機関等 不当な差別的取扱いの禁止:法的義務、合理的配慮の提供:法的義務 事業者 不当な差別的取扱いの禁止:法的義務、合理的配慮の提供:努力義務 (4) 対象となる職員 対応要領の対象となる職員は、嘱託員、臨時職員を含む長崎市職員(法において事業者に該当する地方公営企業(上下水道局)の職員を含む。)を対象とします。 なお、地方公営企業(上下水道局)は、法律上「事業者」に該当しますが、長崎市全体として統一的な考え方の下で必要な対応や取組みができるよう、この対応要領の対象となる職員に含めることとしています。 (5) 対象となる事務事業 本市が行う全ての事務事業が広く対象となります。 ただし、本市が事業主としての立場で労働者である障害者(障害のある職員)に対して行う差別解消のための措置については、法第13条の規定により、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)の定めるところによるものとされています。 なお、同法においては、労働者の募集及び採用、賃金の決定その他待遇など(第34条から第36条まで)の規定(例えば、車いすの利用などを理由として採用を拒否すること、障害者であることを理由に低い賃金を設定することなどは、不当な差別的取扱いに該当し、禁止しています。)については、地方公務員は適用除外(第85条の3)とされていますが、これは、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第13条において、「平等取扱の原則」が適用されることを理由としていますので、この規定を根拠として、同様の対応が求められることとなります。 ※事務の委託等について 全ての事務事業には、市が事業者に一部又は全部を委託する場合についても含まれます。(指定管理者に施設の管理を行わせることや、市と事業者が共同で事業を行うことも含みます。)そのため、受託業者等の合理的配慮の提供に、大きな差異を生じ、障害者が不利益を受けることのないよう、対応要領に準じ、対応させる必要があります。(市民応対等を委託等の内容に含む場合は、特に留意する必要があります。) (6) 対象となる障害者 「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」です。(社会モデルの考え方を踏まえた障害者基本法に規定する障害者と同様です。)このため、法が対象とする障害者は、障害者手帳の所持者に限られません。 特に、女性である障害者には、障害に加えて女性であることにより、更に複合的に困難な状況に置かれている場合があること、また、障害児には、成人の障害者とは異なる支援の必要性があることに十分留意する必要があります。 ※社会モデル:障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病に起因する障害を含む。)のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとの考え方をいいます。 (7) 法における個人的な思想、言論等の取扱い 法においては、行政機関等や事業者を対象としており、一般の方々が個人的な関係で障害者と接するような場合や、個人の思想、言論については、法により規制することは不適当と考えられることから対象にしていません。 2 第3条(不当な差別的取扱いの禁止)について<留意事項> (不当な差別的取扱いの禁止) 第3条 職員は、法第7条第1項の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として、障害者でない者と比較して不当な差別的取扱い(以下単に「不当な差別的取扱い」という。)を行うことにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 (1) 「不当な差別的取扱い」の基本的な考え方 人は、それぞれ違った個性や能力をもっています。 「区別」とは、それぞれの個性や能力を特色として認めたうえで、対等な関係の下で、その違いを表すものですが、「差別」とは、それぞれの個性や能力に、優劣や上下関係を付けたうえで、その自由や権利を無視し、侵害するなどの不利益な扱いをすることをいいます。 法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、次のような行為により障害者の権利利益を侵害することを禁止しています。 @公共施設の利用及び各種サービスや機会の提供を拒否すること。 A提供に当たって場所・時間帯などを制限すること。 B障害者でない者に対しては付さない条件を付けること。 ただし、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではありません。したがって、次のような行為は、不当な差別的取扱いには当たりません。 @障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)を行うこと。 A合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いを行うこと。 B合理的配慮の提供等に必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認すること。 (2) 正当な理由の判断の視点 正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、公共施設の利用及び各種サービスや機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないといえる場合です。 「客観的に見て」とは、対応した者の判断(主観性)に委ねられるのではなく、第三者から見てもやむを得ないと納得を得られるような判断(客観性)を備えたものでなければならないということです。 したがって、正当な理由に相当するか否かについては、個別の事案ごとに、次のような観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要となりますが、単に事故や危険の恐れがあるなどの抽象的な理由ではなく、具体的な場面や状況に応じた明確な理由が求められます。 そのうえで、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明し、理解を得るよう努めることが求められます。 @障害者や第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等) A本市の事務・事業の目的・内容・機能の維持等 (3) 不当な差別的取扱いの判断の視点と具体例 不当な差別的取扱いについては、個別の事案ごとに判断する必要があり、下記に記載された具体例であっても、差別に当たるかどうかは、総合的・客観的に見て正当な理由が存在する場合は、不当な差別的取扱いに当たらないこともあります。なお、これらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要があります。 不当な差別的取扱いの具体例 @障害者本人を無視して、介助者・支援者や付き添い者のみに話しかける。 A障害があることを理由に、誓約書・同意書等の提出を求めるなど、他者と異なる手続きを課す。 B身体障害者補助犬(盲導犬、聴導犬、介助犬)※の帯同を理由に入室・入場を拒否する。 ※身体障害者補助犬:目や耳や手足に障害のある人の生活をサポートする、盲導犬、聴導犬、介助犬のことです。身体障害者補助犬法に基づき認定された犬で、特別な訓練を受けています。補助犬の同伴については、「身体障害者補助犬法」で、人が立ち入ることのできる様々な場所で受け入れるよう義務づけられています。 @盲導犬:視覚障害者が街中を安全に歩けるようにサポートします。 A聴導犬:聴覚障害者にタッチをするなど色々な動作を使って音を知らせます。 B介助犬:手足に障害がある人の日常の生活動作をサポートします。 C聴覚に障害がある方が窓口での筆談を求めた際に拒否する。 D事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害を理由に、来庁の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、付き添い者の同行を拒んだりする。 3 第4条(合理的配慮の提供)について<留意事項> (合理的配慮の提供) 第4条 職員は、法第7条第2項の規定に基づき、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。 (1) 合理的配慮の基本的な考え方 「行政機関等がその事務・事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に過重な負担がないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な措置、取組みを行うこと」が合理的配慮とされます。 ※意思の表明:言語(手話を含む)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む)により伝えられるものです。 また、障害者からの意思の表明のみでなく、知的障害や精神障害等により本人の意思の表明が困難な場合には、障害者の家族や介護者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含まれます。 (2) 合理的配慮の判断の視点 合理的配慮は、事務・事業の目的・内容・機能に照らし、次に掲げる内容に留意して判断し、実施しなければなりません。 また、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、代替措置の選択も含め、相手方との話し合いによる相互理解を通じて、柔軟に対応することが求められます。 @必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること。 A障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること。 B事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと。 (3) 環境の整備との関係 不特定多数の障害者を主な対象とする次に掲げる事前的改善措置について、個々の障害者に対する合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施に努めなければなりません。 また、環境の整備には、ハード面のみならず、職員に対する研修等のソフト面の対応も含まれます。 @高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)、いわゆるバリアフリー法に基づく公共施設や交通機関のバリアフリー化 A意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス・介助者・支援者等の人的支援 B障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上 ※情報アクセシビリティ:パソコンやWebページをはじめとする情報関連のハード、ソフト、サービスなどを、高齢者や障害者を含む多くのユーザーが不自由なく利用できることをいいます。 なお、アクセシビリティとは、年齢や障害の有無に関係なく、誰でも必要とする情報に簡単にたどり着け、利用できることをいいます。 (4) 過重な負担の判断の視点 過重な負担については、個別の事案ごとに、次の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要となり、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明し、理解を得るよう努めることが求められます。 @事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か) A実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) B費用、負担の程度や財政状況 C事務・事業規模 (5) 合理的配慮となり得る具体例 合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものですが、具体例としては、次のようなものがあげられます。 なお、記載した具体例については、「(4)過重な負担の判断の視点」で示した過重な負担が存在しないことを前提としていること、また、これらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要があります。 物理的環境への配慮の具体例 @段差がある場合に、車椅子・歩行器利用者のためにキャスター上げ等の補助をしたり、段差に携帯スロープを渡したりする。 A書棚の高い所や低い所等利用者が不便を感じる所に置かれたパンフレット等を取って渡したり、パンフレット等の位置を分かりやすく伝えたりする。 B目的の場所まで案内する場合に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、左右・前後・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりする。 C障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を出入口付近にする。 D疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申し出があった場合に、別室の確保が困難なときは、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける。特に女性の場合はバスタオル等を準備し、プライバシーの保護に留意する。 E不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。 F災害や事故が発生した際、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害者に対し、電光掲示板、手書きのボード等を用いて、分かりやすく案内し、誘導を図る。 意思疎通への配慮の具体例 @筆談、読み上げ、手話、点字、拡大文字等のコミュニケーション手段を用いる。 A意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認する。 B通常、口頭で行う案内を、紙に書いて渡す。 C書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したり、本人の依頼に応じ、代読や代筆といった配慮を行う。 D視覚障害のある委員(又は関係人)に会議資料等を事前送付する場合に、読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)で提供する。 E比喩表現等の理解が困難な障害者に対し、比喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに具体的に説明する。 F障害者からの申し出に応じ、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避け、漢数字は用いず、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモを必要に応じて適時に渡す。 G会議の進行にあたり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚又は聴覚に障害のある委員や知的障害を持つ委員に対し、ゆっくり、丁寧な進行を心がけるなどの配慮を行う。 ルール・慣行の柔軟な変更の具体例 @順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の理解を得た上で、手続き順を入れ替える。 A立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室や席を用意する。 Bスクリーン、手話通訳者、板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する。 C車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。 D施設内の駐車場等において、障害者の来庁が多数見込まれる場合、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。併せて、ガイド(案内する者)を配置し、又は案内を見やすい位置に表示する。 E他人との接触、多人数の中にいることによる緊張等により、不随意の発声等がある場合、当該障害者に説明の上、施設の状況に応じて別室を準備する。 <参考> 合理的配慮の事例については、内閣府のホームページに掲載されています。 『合理的配慮サーチ(http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/)』 4 第5条及び第6条(職務の執行等)について (職務の執行) 第5条 職員は、前2条に規定する事項に関し、適切に対応するため、別に定める留意事項に留意して、その職務を執行するものとする。 (所属長の責務) 第6条 所属長は、第3条及び第4条に規定する事項に関し、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次の各号に掲げる事項を実施しなければならない。 (1) 日常の執務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、所属職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。 (2) 障害者及びその家族その他の関係者から不当な差別的取扱い又は合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。  (3) 合理的配慮の必要性が確認された場合は、所属職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。  2 所属長は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。職員は、前2条に規定する事項に関し、別に定める留意事項に留意して、その職務を執行するものとする。 (1) 職員の職務執行にあたっての留意事項 職員は、障害を理由とする差別の解消に向け、対応要領第3条に定める「不当な差別的取扱いの禁止」及び第4条に定める「合理的配慮の提供」を行う場合は、別に定める「障害を理由とする差別の解消に関する長崎市職員対応要領第5条に規定する留意事項」に十分留意し、これらを常に意識しながら、職務の執行にあたる必要があります。 なお、「留意事項」は、第3条及び第4条の解説に記載した内容のとおりです。 (2) 所属長の責務(各職場における取組みの推進) 所属長は、各所属における障害を理由とする差別の解消を推進するため、日常の執務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、所属職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせなければなりません。 また、障害者等から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速かつ適切に対処しなければなりません。 5 第7条、第8条及び第9条(相談、研修等)について (相談体制) 第7条 職員による障害を理由とする差別に関する障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため、福祉部障害福祉課を相談窓口とする。 2 前項に関する相談に対しては、福祉部障害福祉課と関係所属が連携して対応するものとする。 (研修及び啓発) 第8条 市長は、障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、職員に対し、必要な研修及び啓発を行うものとする。 (見直し) 第9条 この対応要領は、基本方針の見直し又は障害を理由とする差別の解消の進捗状況を踏まえ、必要な見直しを行うものとする。 (1) 相談体制 障害者差別の解消を効果的に推進するためには、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に、的確に対応することが必要となります。 ここでいう「その他の関係者」とは、介助者、手話通訳者、代理人など、障害者の相談を支援する人を指します。 本市では、障害福祉課をワンストップの相談窓口とし、関係所属と連携しながら対応するとともに、相談者の秘密保持に配慮しつつ、障害者差別に係る事例の集積、共有化を図り、本市における障害者差別解消の取組みに活かしていきます。 (2) 対応方法 相談等を受ける場合は、相談者の性別、年齢、状態等に配慮するとともに、対面のほか、電話、ファックス、電子メールに加え、障害者がコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段を可能な範囲で用意して対応する必要があります。 また、相談内容や対応結果については、確実に記録し、報告を行うとともに、障害福祉課長の判断の下、必要に応じて関係所属に連絡を行うものとしています。 なお、各所属が直接相談を受ける場合も、同様の対応を行うとともに、障害福祉課に確実に報告を行ってください。 (3) 研修及び啓発 障害者差別の解消の推進を図るため、障害福祉課が主体となって、職員に対する必要な研修及び啓発を実施することとしています。 なお、各所属における自発的な研修及び啓発活動等についても、積極的に推進することとしています。 (4) 対応要領の見直し 法施行後3年を経過した時点で、法の施行状況の検討と併せて、国の基本方針、対応指針、対応要領についても見直すこととされています。 長崎市においては、国が定める基本方針等の見直しだけでなく、長崎市における障害を理由とする差別の解消の進捗状況などを踏まえながら、必要な都度見直しを行うことで、障害者差別の解消に向けたより適切な対応を図ることとしています。 (5) その他(懲戒処分等について) 職員が、次に掲げる行為に該当すると判断される場合など、その態様等によっては、職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合等に該当し、懲戒処分等に付されることがあることを十分認識したうえで、職務の執行にあたってください。 ア 不当な差別的取扱いに相当する行為を行った場合で、その行為に理由が存在しないとき、又はその行為に至った理由が客観的に見て正当ではないと判断されるとき。 イ 合理的配慮の不提供に相当する行為を行った場合で、障害者からの意思の表明 を無視したと判断されるとき、又は障害者からの意思の表明を受けたにもかかわらず、その対応(協議、検討等を含む。)を怠ったと判断されるとき。 X 参照条文 1 障害を理由とする差別の解消の推進に関する長崎市職員対応要領(平成29年4月5日決定) (趣旨) 第1条 この要領(以下「対応要領」という。)は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項の規定に基づき、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定)に即して、法第7条に規定する事項に関し、長崎市職員(嘱託員及び臨時職員を含む。以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。 (定義) 第2条 この対応要領における用語の意義は、法の定めるところによる。  (不当な差別的取扱いの禁止) 第3条 職員は、法第7条第1項の規定に基づき、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として、障害者でない者と比較して不当な差別的取扱い(以下単に「不当な差別的取扱い」という。)を行うことにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 (合理的配慮の提供) 第4条 職員は、法第7条第2項の規定に基づき、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に過重な負担がないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)を提供しなければならない。 (職務の執行) 第5条 職員は、前2条に規定する事項に関し、別に定める留意事項に留意して、その職務を執行するものとする。 (所属長の責務) 第6条 所属長は、第3条及び第4条に規定する事項に関し、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次の各号に掲げる事項を実施しなければならない。 (1) 日常の執務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、所属職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。 (2) 障害者及びその家族その他の関係者(以下「障害者等」という。)から不当な差別的取扱い又は合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。  (3) 合理的配慮の必要性が確認された場合は、所属職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。  2 所属長は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。 (相談体制) 第7条 職員による障害を理由とする差別に関する障害者等からの相談等に的確に対応するため、福祉部障害福祉課を相談窓口とする。 2 前項に関する相談等に対しては、福祉部障害福祉課と関係所属が連携して対応するものとする。 (研修及び啓発) 第8条 市は、障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、職員に対し、必要な研修及び啓発を行うものとする。 (見直し) 第9条 この対応要領は、障害を理由とする差別の解消の進捗状況等を踏まえ、必要な見直しを行うものとする。 附則   この対応要領は、平成29年4月5日から施行する。 2 障害を理由とする差別の解消に関する長崎市職員対応要領第5条に規定する留意事項(平成29年4月5日決定) 障害を理由とする差別の解消に関する長崎市職員対応要領(以下「対応要領」という。)第5条に基づき、不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の提供に関し、職員がその職務を執行するにあたって留意すべき事項を次のとおり定める。 <以下略>※第3条及び第4条逐条解説参照 3 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号) 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 二 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 三 行政機関等 国の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体(地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第三章の規定の適用を受ける地方公共団体の経営する企業を除く。第七号、第十条及び附則第四条第一項において同じ。)及び地方独立行政法人をいう。 四 国の行政機関 次に掲げる機関をいう。 イ 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関 ロ 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうちニの政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。) ハ 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(ホの政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。) ニ 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、政令で定めるもの ホ 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの ヘ 会計検査院 五 独立行政法人等 次に掲げる法人をいう。 イ 独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。ロにおいて同じ。) ロ 法律により直接に設立された法人、特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人(独立行政法人を除く。)又は特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち、政令で定めるもの 六 地方独立行政法人 地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人(同法第二十一条第三号に掲げる業務を行うものを除く。)をいう。 七 事業者 商業その他の事業を行う者(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)をいう。 (国及び地方公共団体の責務) 第三条 国及び地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない。 (国民の責務) 第四条 国民は、第一条に規定する社会を実現する上で障害を理由とする差別の解消が重要であることに鑑み、障害を理由とする差別の解消の推進に寄与するよう努めなければならない。 (社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備) 第五条 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。 第二章 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針 第六条 政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。 2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向 二 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項 三 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項 四 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項 3 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。 4 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、障害者政策委員会の意見を聴かなければならない。 5 内閣総理大臣は、第三項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。 6 前三項の規定は、基本方針の変更について準用する。 第三章 行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置 (行政機関等における障害を理由とする差別の禁止) 第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 (事業者における障害を理由とする差別の禁止) 第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。 (国等職員対応要領) 第九条 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、基本方針に即して、第七条に規定する事項に関し、当該国の行政機関及び独立行政法人等の職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第三条において「国等職員対応要領」という。)を定めるものとする。 2 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。 3 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 4 前二項の規定は、国等職員対応要領の変更について準用する。 (地方公共団体等職員対応要領) 第十条 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、基本方針に即して、第七条に規定する事項に関し、当該地方公共団体の機関及び地方独立行政法人の職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第四条において「地方公共団体等職員対応要領」という。)を定めるよう努めるものとする。 2 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要領を定めようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 3 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。 4 国は、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人による地方公共団体等職員対応要領の作成に協力しなければならない。 5 前三項の規定は、地方公共団体等職員対応要領の変更について準用する。 (事業者のための対応指針) 第十一条 主務大臣は、基本方針に即して、第八条に規定する事項に関し、事業者が適切に対応するために必要な指針(以下「対応指針」という。)を定めるものとする。 2 第九条第二項から第四項までの規定は、対応指針について準用する。 (報告の徴収並びに助言、指導及び勧告) 第十二条 主務大臣は、第八条の規定の施行に関し、特に必要があると認めるときは、対応指針に定める事項について、当該事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。 (事業主による措置に関する特例) 第十三条 行政機関等及び事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)の定めるところによる。 第四章 障害を理由とする差別を解消するための支援措置 (相談及び紛争の防止等のための体制の整備) 第十四条 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものとする。 (啓発活動) 第十五条 国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消について国民の関心と理解を深めるとともに、特に、障害を理由とする差別の解消を妨げている諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動を行うものとする。 (情報の収集、整理及び提供) 第十六条 国は、障害を理由とする差別を解消するための取組に資するよう、国内外における障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情報の収集、整理及び提供を行うものとする。 (障害者差別解消支援地域協議会) 第十七条 国及び地方公共団体の機関であって、医療、介護、教育その他の障害者の自立と社会参加に関連する分野の事務に従事するもの(以下この項及び次条第二項において「関係機関」という。)は、当該地方公共団体の区域において関係機関が行う障害を理由とする差別に関する相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため、関係機関により構成される障害者差別解消支援地域協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。 2 前項の規定により協議会を組織する国及び地方公共団体の機関は、必要があると認めるときは、協議会に次に掲げる者を構成員として加えることができる。 一 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他の団体 二 学識経験者 三 その他当該国及び地方公共団体の機関が必要と認める者 (協議会の事務等) 第十八条 協議会は、前条第一項の目的を達するため、必要な情報を交換するとともに、障害者からの相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組に関する協議を行うものとする。 2 関係機関及び前条第二項の構成員(次項において「構成機関等」という。)は、前項の協議の結果に基づき、当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を行うものとする。 3 協議会は、第一項に規定する情報の交換及び協議を行うため必要があると認めるとき、又は構成機関等が行う相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組に関し他の構成機関等から要請があった場合において必要があると認めるときは、構成機関等に対し、相談を行った障害者及び差別に係る事案に関する情報の提供、意見の表明その他の必要な協力を求めることができる。 4 協議会の庶務は、協議会を構成する地方公共団体において処理する。 5 協議会が組織されたときは、当該地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。 (秘密保持義務) 第十九条 協議会の事務に従事する者又は協議会の事務に従事していた者は、正当な理由なく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (協議会の定める事項) 第二十条 前三条に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。 第五章 雑則 (主務大臣) 第二十一条 この法律における主務大臣は、対応指針の対象となる事業者の事業を所管する大臣又は国家公安委員会とする。 (地方公共団体が処理する事務) 第二十二条 第十二条に規定する主務大臣の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、地方公共団体の長その他の執行機関が行うこととすることができる。 (権限の委任) 第二十三条 この法律の規定により主務大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、その所属の職員に委任することができる。 (政令への委任) 第二十四条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。 第六章 罰則 第二十五条 第十九条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 第二十六条 第十二条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。 附則 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。ただし、次条から附則第六条までの規定は、公布の日から施行する。 (基本方針に関する経過措置) 第二条 政府は、この法律の施行前においても、第六条の規定の例により、基本方針を定めることができる。この場合において、内閣総理大臣は、この法律の施行前においても、同条の規定の例により、これを公表することができる。 2 前項の規定により定められた基本方針は、この法律の施行の日において第六条の規定により定められたものとみなす。 (国等職員対応要領に関する経過措置) 第三条 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、この法律の施行前においても、第九条の規定の例により、国等職員対応要領を定め、これを公表することができる。 2 前項の規定により定められた国等職員対応要領は、この法律の施行の日において第九条の規定により定められたものとみなす。 (地方公共団体等職員対応要領に関する経過措置) 第四条 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、この法律の施行前においても、第十条の規定の例により、地方公共団体等職員対応要領を定め、これを公表することができる。 2 前項の規定により定められた地方公共団体等職員対応要領は、この法律の施行の日において第十条の規定により定められたものとみなす。 (対応指針に関する経過措置) 第五条 主務大臣は、この法律の施行前においても、第十一条の規定の例により、対応指針を定め、これを公表することができる。 2 前項の規定により定められた対応指針は、この法律の施行の日において第十一条の規定により定められたものとみなす。 (政令への委任) 第六条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。 (検討) 第七条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、第八条第二項に規定する社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮の在り方その他この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。 4 障害者基本法(昭和45年法律第84号) 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 二 社会的障壁 障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 (地域社会における共生等) 第三条 第一条に規定する社会の実現は、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を旨として図られなければならない。 一 全て障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。 二 全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。 三 全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。 (差別の禁止) 第四条 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。 2 社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによって前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。 3 国は、第一項の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、当該行為の防止を図るために必要となる情報の収集、整理及び提供を行うものとする。 (国際的協調) 第五条 第一条に規定する社会の実現は、そのための施策が国際社会における取組と密接な関係を有していることに鑑み、国際的協調の下に図られなければならない。 (国及び地方公共団体の責務) 第六条 国及び地方公共団体は、第一条に規定する社会の実現を図るため、前三条に定める基本原則(以下「基本原則」という。)にのっとり、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に実施する責務を有する。 (国民の理解) 第七条 国及び地方公共団体は、基本原則に関する国民の理解を深めるよう必要な施策を講じなければならない。 (国民の責務) 第八条 国民は、基本原則にのっとり、第一条に規定する社会の実現に寄与するよう努めなければならない。 (障害者週間) 第九条 国民の間に広く基本原則に関する関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加することを促進するため、障害者週間を設ける。 2 障害者週間は、十二月三日から十二月九日までの一週間とする。 3 国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等に関する活動を行う民間の団体等と相互に緊密な連携協力を図りながら、障害者週間の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならない。 (施策の基本方針) 第十条 障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策は、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、かつ、有機的連携の下に総合的に、策定され、及び実施されなければならない。 2 国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を講ずるに当たっては、障害者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。 (障害者基本計画等) 第十一条 政府は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「障害者基本計画」という。)を策定しなければならない。 2 都道府県は、障害者基本計画を基本とするとともに、当該都道府県における障害者の状況等を踏まえ、当該都道府県における障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「都道府県障害者計画」という。)を策定しなければならない。 3 市町村は、障害者基本計画及び都道府県障害者計画を基本とするとともに、当該市町村における障害者の状況等を踏まえ、当該市町村における障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「市町村障害者計画」という。)を策定しなければならない。 4 内閣総理大臣は、関係行政機関の長に協議するとともに、障害者政策委員会の意見を聴いて、障害者基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。 5 都道府県は、都道府県障害者計画を策定するに当たっては、第三十六条第一項の合議制の機関の意見を聴かなければならない。 6 市町村は、市町村障害者計画を策定するに当たっては、第三十六条第四項の合議制の機関を設置している場合にあってはその意見を、その他の場合にあっては障害者その他の関係者の意見を聴かなければならない。 7 政府は、障害者基本計画を策定したときは、これを国会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。 8 第二項又は第三項の規定により都道府県障害者計画又は市町村障害者計画が策定されたときは、都道府県知事又は市町村長は、これを当該都道府県の議会又は当該市町村の議会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。 9 第四項及び第七項の規定は障害者基本計画の変更について、第五項及び前項の規定は都道府県障害者計画の変更について、第六項及び前項の規定は市町村障害者計画の変更について準用する。 (法制上の措置等) 第十二条 政府は、この法律の目的を達成するため、必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない。 (年次報告) 第十三条 政府は、毎年、国会に、障害者のために講じた施策の概況に関する報告書を提出しなければならない。 第二章 障害者の自立及び社会参加の支援等のための基本的施策 (医療、介護等) 第十四条 国及び地方公共団体は、障害者が生活機能を回復し、取得し、又は維持するために必要な医療の給付及びリハビリテーションの提供を行うよう必要な施策を講じなければならない。 2 国及び地方公共団体は、前項に規定する医療及びリハビリテーションの研究、開発及び普及を促進しなければならない。 3 国及び地方公共団体は、障害者が、その性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じ、医療、介護、保健、生活支援その他自立のための適切な支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならない。 4 国及び地方公共団体は、第一項及び前項に規定する施策を講ずるために必要な専門的技術職員その他の専門的知識又は技能を有する職員を育成するよう努めなければならない。 5 国及び地方公共団体は、医療若しくは介護の給付又はリハビリテーションの提供を行うに当たっては、障害者が、可能な限りその身近な場所においてこれらを受けられるよう必要な施策を講ずるものとするほか、その人権を十分に尊重しなければならない。 6 国及び地方公共団体は、福祉用具及び身体障害者補助犬の給付又は貸与その他障害者が日常生活及び社会生活を営むのに必要な施策を講じなければならない。 7 国及び地方公共団体は、前項に規定する施策を講ずるために必要な福祉用具の研究及び開発、身体障害者補助犬の育成等を促進しなければならない。 (年金等) 第十五条 国及び地方公共団体は、障害者の自立及び生活の安定に資するため、年金、手当等の制度に関し必要な施策を講じなければならない。 (教育) 第十六条 国及び地方公共団体は、障害者が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない。 2 国及び地方公共団体は、前項の目的を達成するため、障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならない。 3 国及び地方公共団体は、障害者である児童及び生徒と障害者でない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによって、その相互理解を促進しなければならない。 4 国及び地方公共団体は、障害者の教育に関し、調査及び研究並びに人材の確保及び資質の向上、適切な教材等の提供、学校施設の整備その他の環境の整備を促進しなければならない。 (療育) 第十七条 国及び地方公共団体は、障害者である子どもが可能な限りその身近な場所において療育その他これに関連する支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならない。 2 国及び地方公共団体は、療育に関し、研究、開発及び普及の促進、専門的知識又は技能を有する職員の育成その他の環境の整備を促進しなければならない。 (職業相談等) 第十八条 国及び地方公共団体は、障害者の職業選択の自由を尊重しつつ、障害者がその能力に応じて適切な職業に従事することができるようにするため、障害者の多様な就業の機会を確保するよう努めるとともに、個々の障害者の特性に配慮した職業相談、職業指導、職業訓練及び職業紹介の実施その他必要な施策を講じなければならない。 2 国及び地方公共団体は、障害者の多様な就業の機会の確保を図るため、前項に規定する施策に関する調査及び研究を促進しなければならない。 3 国及び地方公共団体は、障害者の地域社会における作業活動の場及び障害者の職業訓練のための施設の拡充を図るため、これに必要な費用の助成その他必要な施策を講じなければならない。 (雇用の促進等) 第十九条 国及び地方公共団体は、国及び地方公共団体並びに事業者における障害者の雇用を促進するため、障害者の優先雇用その他の施策を講じなければならない。 2 事業主は、障害者の雇用に関し、その有する能力を正当に評価し、適切な雇用の機会を確保するとともに、個々の障害者の特性に応じた適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るよう努めなければならない。 3 国及び地方公共団体は、障害者を雇用する事業主に対して、障害者の雇用のための経済的負担を軽減し、もつてその雇用の促進及び継続を図るため、障害者が雇用されるのに伴い必要となる施設又は設備の整備等に要する費用の助成その他必要な施策を講じなければならない。 (住宅の確保) 第二十条 国及び地方公共団体は、障害者が地域社会において安定した生活を営むことができるようにするため、障害者のための住宅を確保し、及び障害者の日常生活に適するような住宅の整備を促進するよう必要な施策を講じなければならない。 (公共的施設のバリアフリー化) 第二十一条 国及び地方公共団体は、障害者の利用の便宜を図ることによって障害者の自立及び社会参加を支援するため、自ら設置する官公庁施設、交通施設(車両、船舶、航空機等の移動施設を含む。次項において同じ。)その他の公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の整備等の計画的推進を図らなければならない。 2 交通施設その他の公共的施設を設置する事業者は、障害者の利用の便宜を図ることによって障害者の自立及び社会参加を支援するため、当該公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の整備等の計画的推進に努めなければならない。 3 国及び地方公共団体は、前二項の規定により行われる公共的施設の構造及び設備の整備等が総合的かつ計画的に推進されるようにするため、必要な施策を講じなければならない。 4 国、地方公共団体及び公共的施設を設置する事業者は、自ら設置する公共的施設を利用する障害者の補助を行う身体障害者補助犬の同伴について障害者の利用の便宜を図らなければならない。 (情報の利用におけるバリアフリー化等) 第二十二条 国及び地方公共団体は、障害者が円滑に情報を取得し及び利用し、その意思を表示し、並びに他人との意思疎通を図ることができるようにするため、障害者が利用しやすい電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の普及、電気通信及び放送の役務の利用に関する障害者の利便の増進、障害者に対して情報を提供する施設の整備、障害者の意思疎通を仲介する者の養成及び派遣等が図られるよう必要な施策を講じなければならない。 2 国及び地方公共団体は、災害その他非常の事態の場合に障害者に対しその安全を確保するため必要な情報が迅速かつ的確に伝えられるよう必要な施策を講ずるものとするほか、行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進に当たっては、障害者の利用の便宜が図られるよう特に配慮しなければならない。 3 電気通信及び放送その他の情報の提供に係る役務の提供並びに電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の製造等を行う事業者は、当該役務の提供又は当該機器の製造等に当たっては、障害者の利用の便宜を図るよう努めなければならない。 (相談等) 第二十三条 国及び地方公共団体は、障害者の意思決定の支援に配慮しつつ、障害者及びその家族その他の関係者に対する相談業務、成年後見制度その他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は制度が、適切に行われ又は広く利用されるようにしなければならない。 2 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの各種の相談に総合的に応ずることができるようにするため、関係機関相互の有機的連携の下に必要な相談体制の整備を図るとともに、障害者の家族に対し、障害者の家族が互いに支え合うための活動の支援その他の支援を適切に行うものとする。 (経済的負担の軽減) 第二十四条 国及び地方公共団体は、障害者及び障害者を扶養する者の経済的負担の軽減を図り、又は障害者の自立の促進を図るため、税制上の措置、公共的施設の利用料等の減免その他必要な施策を講じなければならない。 (文化的諸条件の整備等) 第二十五条 国及び地方公共団体は、障害者が円滑に文化芸術活動、スポーツ又はレクリエーションを行うことができるようにするため、施設、設備その他の諸条件の整備、文化芸術、スポーツ等に関する活動の助成その他必要な施策を講じなければならない。 (防災及び防犯) 第二十六条 国及び地方公共団体は、障害者が地域社会において安全にかつ安心して生活を営むことができるようにするため、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、防災及び防犯に関し必要な施策を講じなければならない。 (消費者としての障害者の保護) 第二十七条 国及び地方公共団体は、障害者の消費者としての利益の擁護及び増進が図られるようにするため、適切な方法による情報の提供その他必要な施策を講じなければならない。 2 事業者は、障害者の消費者としての利益の擁護及び増進が図られるようにするため、適切な方法による情報の提供等に努めなければならない。 (選挙等における配慮) 第二十八条 国及び地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより行われる選挙、国民審査又は投票において、障害者が円滑に投票できるようにするため、投票所の施設又は設備の整備その他必要な施策を講じなければならない。 (司法手続における配慮等) 第二十九条 国又は地方公共団体は、障害者が、刑事事件若しくは少年の保護事件に関する手続その他これに準ずる手続の対象となった場合又は裁判所における民事事件、家事事件若しくは行政事件に関する手続の当事者その他の関係人となった場合において、障害者がその権利を円滑に行使できるようにするため、個々の障害者の特性に応じた意思疎通の手段を確保するよう配慮するとともに、関係職員に対する研修その他必要な施策を講じなければならない。 (国際協力) 第三十条 国は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を国際的協調の下に推進するため、外国政府、国際機関又は関係団体等との情報の交換その他必要な施策を講ずるように努めるものとする。 第三章 障害の原因となる傷病の予防に関する基本的施策 第三十一条 国及び地方公共団体は、障害の原因となる傷病及びその予防に関する調査及び研究を促進しなければならない。 2 国及び地方公共団体は、障害の原因となる傷病の予防のため、必要な知識の普及、母子保健等の保健対策の強化、当該傷病の早期発見及び早期治療の推進その他必要な施策を講じなければならない。 3 国及び地方公共団体は、障害の原因となる難病等の予防及び治療が困難であることに鑑み、障害の原因となる難病等の調査及び研究を推進するとともに、難病等に係る障害者に対する施策をきめ細かく推進するよう努めなければならない。 第四章 障害者政策委員会等 (障害者政策委員会の設置) 第三十二条 内閣府に、障害者政策委員会(以下「政策委員会」という。)を置く。 2 政策委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。 一 障害者基本計画に関し、第十一条第四項(同条第九項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。 二 前号に規定する事項に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は関係各大臣に対し、意見を述べること。 三 障害者基本計画の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告すること。 四 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号)の規定によりその権限に属させられた事項を処理すること。 3 内閣総理大臣又は関係各大臣は、前項第三号の規定による勧告に基づき講じた施策について政策委員会に報告しなければならない。 (政策委員会の組織及び運営) 第三十三条 政策委員会は、委員三十人以内で組織する。 2 政策委員会の委員は、障害者、障害者の自立及び社会参加に関する事業に従事する者並びに学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。この場合において、委員の構成については、政策委員会が様々な障害者の意見を聴き障害者の実情を踏まえた調査審議を行うことができることとなるよう、配慮されなければならない。 3 政策委員会の委員は、非常勤とする。 第三十四条 政策委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。 2 政策委員会は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。 第三十五条 前二条に定めるもののほか、政策委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。 (都道府県等における合議制の機関) 第三十六条 都道府県(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)を含む。以下同じ。)に、次に掲げる事務を処理するため、審議会その他の合議制の機関を置く。 一 都道府県障害者計画に関し、第十一条第五項(同条第九項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。 二 当該都道府県における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議し、及びその施策の実施状況を監視すること。 三 当該都道府県における障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議すること。 2 前項の合議制の機関の委員の構成については、当該機関が様々な障害者の意見を聴き障害者の実情を踏まえた調査審議を行うことができることとなるよう、配慮されなければならない。 3 前項に定めるもののほか、第一項の合議制の機関の組織及び運営に関し必要な事項は、条例で定める。 4 市町村(指定都市を除く。)は、条例で定めるところにより、次に掲げる事務を処理するため、審議会その他の合議制の機関を置くことができる。 一 市町村障害者計画に関し、第十一条第六項(同条第九項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。 二 当該市町村における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議し、及びその施策の実施状況を監視すること。 三 当該市町村における障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議すること。 5 第二項及び第三項の規定は、前項の規定により合議制の機関が置かれた場合に準用する。 附 則 抄 (施行期日) 1 この法律は、公布の日から施行する。 <中略> 附 則 (平成二五年六月二六日法律第六五号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。