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遠藤文学散歩
長崎市内
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長崎県内
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『沈黙』(新潮社 1966年3月)
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- ①黒崎
- この村で取材中、かくれキリシタンの人に出会った記憶から、ロドリゴが潜伏したトモギ村のモデルとなった。「沈黙の碑」の建つ場所から見下ろす出津海岸は、モキチやイチゾウが水磔の刑にあう海岸を想起させる。
- ②五島
- キチジローの出身地で、そこから来た信徒に懇願され、ロドリゴは六日間、五島布教に赴く。さらにトモギ村の迫害がはじまると、ロゴリゴは五島へ逃げ、山中を放浪し、キチジローに売られて役人に捕まる。作中の「オオドマリ」(大泊)「ミヤハラ」(宮原)「ドウザキ」(堂崎)等は下五島・福江の地名である。
- ③横瀬浦
- 捕縛されたロドリゴが舟で近くを通り、南蛮船渡来地として丘の上に教会が建って栄えていた往時を偲ぶ。現在、港口の八ノ子島に当時を偲び大きな十字架が建つ。
- ④大村
- 護送されたロドリゴが上陸した場所。大村領内いたる所で殉教者の血が流された。ちなみに大村にある殉教地で有名な放虎原は『侍』に登場するベラスコのモデルとなったソテロの殉教地である。
- ⑤西勝寺
- ロドリゴがフェレイラと対面する場所のモデル。現在、フェレイラが証人のひとりとなっている転び証文の写しが保存されている。
- ⑥博多町(旧町名)⑦勝山町 ⑧五島町
- ロドリゴが見せしめに引き回される長崎市中の場所。
- ⑦外浦町(旧町名)
- 転んだ後のロドリゴの家があった場所。現在の県庁の場所付近で、作中ロドリゴが踏み絵を踏む長崎奉行所もあった。
『女の一生 一部・キクの場合』(「朝日新聞」1980年11月1日~1981年7月1日)
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- ①聖徳寺
- キクと清吉が生まれ育った浦上村の檀那寺。「浦上四番崩れ」の発端となった。
- ②金毘羅山
- 1865年の信徒発見後、プチジャン神父と浦上キリシタンは金毘羅山で凧を用いて連絡を取り合った。
- ③桜町牢址
- 「浦上四番崩れ」においてキリシタンたちが最初に投獄された場所。
- ④諏訪神社
- 清吉が捕らわれた日、キクとプチジャン神父が出逢った場所。
- ⑤大波止
- 1868年に浦上キリシタンが全国各地へ配流される時、この港より出航した。
- ⑥丸山
- キクが伊藤清左衛門と出逢い、彼女の清吉に対する愛が自己犠牲として貫かれた場所。
- ⑦唐人屋敷跡
- キクが清吉のために最後に身を捧げ、聖母マリアに祈った場所。
- ⑧大浦天主堂
- 1865年2月、フューレ・プチジャン神父らによって建設された日本最古の現存する木造教会堂。3月17日に、御堂内の聖母像のもとで二百年余り潜伏していたキリシタンが発見された。またキクが息絶えた場所でもある。
- ⑨ゼンチョ谷
- キクの墓がある場所。清吉、サチ子が詣でている。
- ⑩長崎奉行西役所址
- 伊藤清左衛門が働いていた場所。
『女の一生 二部・サチ子の場合』(「朝日新聞」1981年7月3日~1982年2月7日)
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- ①聖コルベ館
- コルベ神父が「聖母の騎士」誌発行のために最初に設けた印刷所跡。
- ②聖母の騎士修道院
- コルベ神父が聖母のやさしさとキリストの説く愛の宣教に肺結核を負いながら努めた場所。
- ③大浦天主堂
- キクの物語を聴いたサチ子はその後、かつてのキクと同じように聖母マリア像のもとで悩みを打ち明け、祈る。
- ④原城址
- サチ子が修平たちとともに訪れた場所。サチ子はかつてここで起こったキリシタン虐殺(島原の乱)を原爆投下直前に思い起こす。
- ⑤口之津
- 修平の入営前、サチ子の修平が「あたかも戦のなきがごとく」旅した場所。二人は玉峰寺の楠の下を訪れる。
- ⑥佐世保基地
- 修平が入営した海軍基地。このころからサチ子の修平に対する愛に、キクと同じ激しさが見られるようになる。
- ⑦黒崎
- サチ子の友人・加藤ひろ江は、かつてプチジャン神父とともに大浦天主堂にいたド・ロ神父が農業を教え、医師として慕われた黒崎地区の出身。
- ⑧浦上天主堂
- 「浦上四番崩れ」の後、帰郷した浦上キリシタンたちが釈放の悦びを込めて1914年に建設した教会堂。1945年に被爆、一瞬にして瓦礫と化す。
『切支丹の里』(人文書院 1971年1月)
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- ①風頭山
- 頂上にある矢太楼が長崎取材当初の常宿。頂きからは2つの岬が両腕のように長崎湾をつつんでいるのが見え、フェレイラが初めて日本に到着した日のことを想像する。
- ②大浦天主堂
- 教会の左側に沿った坂路をのぼり、長崎湾を一望するのを好む。
- ③十六番館(現在閉館)
- 『沈黙』の生れる一つの契機となった黒い足指の痕が板についた踏み絵がある。
- ④西坂
- 二十六聖人殉教の場所。ここで強者と殉教できなかった弱者とを思い、それが『沈黙』の視点を決める問題に発展する。
- ⑤春徳寺
- 長崎最初の教会のあった場所。
- ⑥福田
- 一時、ポルトガルの寄港地となる。入江にそった山かげに往時を偲ばせる石垣が残る。その裏山の小さな教会が、ロドリゴが山中放浪の中で雨宿りする小屋のモデル。
- ⑦皓台寺
- フェレイラの壇那寺。この寺とその付近の苔むした石垣や大きな楠、古い家が静まりかえっている細い路を好み、晩年のフェレイラの住んだ場所として思い描く。
- ⑧島原今村刑場跡
- 1622年のナウアロ神父らの火刑にはじまり、多くのキリシタンが処刑された場所。ここで弱者が強者の処刑を見る場所を想う。
- ⑨口之津
- 南蛮船寄港地として往時の面影をどこか残す港。現在の玉峰寺のある場所はキリシタン時代には教会があり、ヴァリニャーノ師が宣教師を拓集して「口之津会議」を開いた場所。寺の堀内の大きな楠の枝を通して海を見るのを好む。
- ⑩原城址
- 一揆を起こしたキリシタン農民三万七千人が、当時廃城となっていたこの城に立て籠り、幕府軍十二万四千人と死闘をくりひろげ、全滅した場所。
- ⑪有馬セミナリヨ跡
- 1580年に日本最初のセミナリヨ(司祭・修道者育成のための中等教育機関)が日之枝城下に建てられ、日本の少年たちがラテン語や西洋音楽や美術など学んだ場所。
- ⑫日之枝城址(日野江城跡)
- 有馬晴信の城で、城下には教会や神学校、病院が建ち並んだ、日本で最初の西洋文化吸収の地。
- ⑬加津佐コレジヨ跡
- 天正の少年施設が持ち帰った日本で最初の活版印刷機が据えられ、教理本がつくられた場所。
- ⑭雲仙地獄谷
- キリシタンが背中を断ち割ってそこに熱湯を注がれるなど酷刑を受け、殉教した場所。
- ⑮平戸
- キリシタン時代の町の匂いを今日でも持っており、ここを当時の長崎にうつし変えて『沈黙』の場面をつくる。
- ⑯生月島
- かくれキリシタンの信仰が今にまで息づく島で、『沈黙』にも出てくる「参ろうや参ろうや…」の歌はこの島の山田集落に伝わるかくれキリシタンの歌を元にしている。
- ⑰中江ノ島
- 平戸から小船で一時間。無人のこの岩島はキリシタン迫害時代、多くの信徒がこの岩から海へ突き落とされた殉教の島で平戸、生月島のかくれキリシタンの聖地。