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偲ぶ一日

遠藤周作を偲ぶ一日(H25.11.9)
 生誕90歳の遠藤周作を偲ぶ音楽会とトークショー

 本年の偲ぶ一日は、講師にヴァイオリニストの佐藤陽子氏をお迎えして、第1部で佐藤氏のヴァイオリン演奏、そして第2部でロシア留学時代のお話から遠藤周作との思い出などをお話頂く二部構成でした。佐藤氏のお父様は遠藤周作の元担当編集者であり、佐藤氏ご本人も遠藤と交流がありました。
 第1部の最初を飾ったのは、バッハの『無伴奏ヴァイオリンパルティータ第二番 シャコンヌ』。その後、『鳥の歌』(カザルス)『無伴奏ヴァイオリンソナタ第六番』(イザイ)などの計6曲が演奏されました。佐藤氏はこの日のために特別な演奏曲目を選ばれ、「遠藤先生の作品をイメージし、想いを馳せながら演奏したい」と語られました。
 その日のお天気は曇り空でしたが、演奏される佐藤氏の背後に海が広がり、鳶が悠々とおよぐ印象的なステージでした。文学館に生まれた小さな劇場から外海の海に、心を揺さぶる音色があふれ、響き渡るようで、会場は感動に包まれました。
 演奏後の第2部では、主婦の友社で遠藤の担当編集者であったお父様のお話、父から送られてくる『わたしが・棄てた・女』の連載を楽しみにしていたことなど、留学中の思い出をお話くださいました。「60数年の一生のうちでわたしが一度も男に騙されなかったのは『わたしが・棄てた・女』のおかげじゃないかなと思っています」と会場を笑いに包みました。
 佐藤氏は遠藤の印象について、「すごく優しい方で、でも結構うぬぼれ屋さんでね。それがまた可愛らしくていいんですね」と当時のことを懐かしそうに話されました。最後に、「文学館にこうして来られたことはわたしにとって大変な贈り物。遠藤先生ありがとうございました」と心温まる一言で講演会は終了しました。世界的なヴァイオリニストの佐藤氏が、生誕90歳を迎えた遠藤先生に捧げた感動的な演奏とともに、貴重なお話を聞く有意義な時間となりました。